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免責条項には限界がある

  • Katherine Chan
  • 2024年2月1日
  • 読了時間: 4分

事例紹介

日本の産業オートメーション企業が、製造施設のデジタル化を目的として、香港企業とデジタルトランスフォーメーション契約を締結しました。香港企業は実施全体を統括し、主要なソフトウェア開発を中国本土のテクノロジー企業に再委託しました。


リスクを抑えるため、香港企業は契約書に詳細な免責条項を設けました。その内容は次のとおりです。“the services were provided ‘as is,’ disclaimed all implied warranties, and capped liability at three times the service fees, except in cases of fraud, gross negligence, or wilful misconduct.”(サービスは「現状のまま(as is)」で提供され、黙示の保証は一切否認され、責任の上限はサービス料金の三倍とし、ただし詐欺・重大な過失・故意の不正行為を除くと定められていました。)


しかし、再委託先が開発したソフトウェアが重大な不具合を起こし、生産が停止しました。損害が拡大し、日本企業は主要な供給契約を失いました。


日本企業は損害賠償を請求し、香港企業は免責条項に基づき責任を否定しましたが、日本企業は根本的な契約違反や虚偽の説明に対して免責は認められないと主張しました。紛争は香港での仲裁に進みました。


法的検討と結果

仲裁廷は最終的に日本企業の主張を全面的に認めました。条項は一見精緻でしたが、起草および適用における複数の欠陥により、効力を持たないと判断されました。


• 根本的な契約違反に対する保護の欠如

ソフトウェアの完全な機能停止は根本的な契約違反に該当しました。条項にはそのような場合にも適用される旨の明示がなく、仲裁廷は責任上限を無効と判断しました。


• 虚偽の説明を排除できなかったこと

再委託先は契約前にシステムの互換性を過度に強調しました。これらの発言は契約書に記載されていませんでしたが、日本企業の判断に影響しました。条項は契約前の説明への依拠を排除しておらず、仲裁廷は虚偽説明の主張を認めました。


• 条項の目立たなさと周知不足

責任制限条項が付録に埋もれており、交渉時に説明されていませんでした。香港法では、免責条項は相手方に合理的に周知されていなければなりません。目立たない配置が有効性を損ねました。


• 範囲および算定式の欠陥

「サービス」の定義がなく、ソフトウェアとハードウェアのどちらを含むか不明確でした。さらに、責任上限を「サービス料金」の倍数で表したものの、基準が曖昧で算出不能でした。仲裁廷はこれにより上限条項自体が無効になったと判断しました。


国境を越えた救済

香港での仲裁と並行して、日本企業は中国本土でも虚偽の説明等の請求を提起しました。中国の裁判所は、重大な経済損失を伴う場合、広範な責任制限条項を認めない傾向があります。日本企業は中国でも救済の機会を得ました。


法的改善策:より有効な条項例

“This limitation of liability shall apply notwithstanding any fundamental breach, except in cases of fraud, gross negligence, or wilful misconduct...”

(本責任制限条項は、根本的な契約違反があった場合にも適用されます。ただし、詐欺、重大な過失、または故意の不正行為を除きます。いずれの当事者も、本契約に明示的に記載されていない説明に依拠することはできません。「サービス」には、ソフトウェアおよびハードウェアを問わずすべての成果物が含まれます。責任上限は、請求の原因となる事象が発生する前の12か月間に支払われた総費用を基準とします。本条項は契約の重要な条件であり、双方が確認し承認しています。)


香港法の下での執行力を高めるためには、こうした条項を契約本文に明記するか、署名付きの別添書として取りまとめることが推奨されます。


重要な示唆

免責条項がどれほど詳細でも、曖昧・目立たない・不完全であれば全体の防御効果は崩壊します。本件では、これらすべての欠陥が香港企業に不利に働きました。教訓は明快です。1つの弱点が全体の保護を失わせることがあります。したがって、慎重な起草・明確な定義・適切な組み込みが不可欠です。


Katherine Chan Law Officeは、このような法的リスクを特定し、抜け穴を防ぐことを専門としています。私たちは「形式的な条文作成」ではなく、「先を見据えた実効的な起草」を支援します。


免責声明

本記事は情報提供のみを目的とするものであり、法的助言を構成するものではありません。本文で取り上げた事例は架空であり、実在の事案または組織との類似は偶然の一致です。法令や規制要件は法域により異なり、本稿はすべての法的・実務的選択肢を網羅するものではありません。具体的な事案についての助言を希望される場合は、Katherine Chan Law Officeまたは資格のある法律専門家にご相談ください。本記事の内容に基づく行為について、いかなる責任も負いかねます。

 
 
 

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